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「ポイヤックさんはどこへ行ったの?」
「ユリアが外出すると旦那様へ伝えに行ったんだよ。ここではゆっくり話が出来ない気がしたからね」
それもそうだ。
「ありがとう…外出も…どこにどうして行けばいいのかわからないから」
「焦らないで、ユリア。わからないままでも困らないように、これからたくさんのことを楽しみながら覚えていけばいいんだから。僕は過去に囚われることはないと思うよ?」
「過去に囚われる?」
「例えば…ユリアはこれが好きだったと食事を出されたら、どう?そんな決めつけは必要なくて、今は感じ方が違っていいと思う」
「ラース…」
最初のスープからマッサージまで‘好きだった’と言われているの。ダンスの練習からは逃げてたんだって…ラッキーと思ったけれど、好きになるかもしれないよね?
「ちょっと前途が開ける…そんな言葉だね…ありがとう」
「僕はユリアが何も覚えていなくても好きだよ。どんな時も前を向いている姿勢が何よりも好きだからね」
「え…胸じゃないの?」
「…胸?」
ラースはここで私の胸に初めて目を向けた。
「ああ…そりゃ、自分にない物を異性に求める感覚は分かるけれど、いくら美しいバストの持ち主でも心が美しくなければ僕は好きにはならないよ」
なんかね…理想的な胸を手に入れて浮かれてたけれど、今ものすごくホッとした。
「じゃあ…例えばだけど、私の胸が萎んだらどう?」
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