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「そんなこともあるのかな?僕にはよくわからないけれど…今みたいに真っ直ぐに僕を見て、何でも話をしてくれるユリアを嫌いになるはずはないね。いつも一生懸命で…愛らしい」
ぇ…僅かに照れを見せたラースを見て私が恥ずかしくなった。
「ユリア様っ」
走ってはいないけれど大急ぎでこちらへ向かってくるウィルと、その後ろを優雅に歩くポイヤックさん。そして、そのさらに後ろにはアニーラとライラがドレスの裾を捲って追いかけてくる。はぁ…
「ユリア、言葉も気持ちも抑えないでいいんじゃないか?以前からずっと…反抗も対抗もしているようでアニーラたちへの遠慮はあるよね」
私のため息を拾ってラースが掛けてくれた言葉は、ずっと前から私を気に掛けてくれていたことが分かるものだった。私?ユリア嬢は気持ちに蓋をしていた?今さらわからないわね。でも…お父様も言っていたな‘ラースが熱心に申し入れてはくれていたが、ユリアはアニーラたちに遠慮していたようでな’と。サーラはそんな風に言わなかったけれど。
「ユリア様、ラース様とお出掛けとは…私に言って下さればいいものを」
「ラース、ユリアとどちらへ?私もご一緒したいわ」
「ユリア、急に厚かましいわよね。都合よく記憶がないって言っているの?」
ウィル、アニーラ、ライラがそう言うと、ラースは私の肩を抱いて
「言いたいことはそれだけ?」
と3人に聞き、続けて
「ポイヤック」
と呼んだ。
「旦那様からは、ご了承いただいております」
「じゃあ、ユリア行くよ。3人がいくら吠えていようが何の力も持たない言葉だ」
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