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おかしなやつだと思われていないかとチラッと目だけでラースを見ると…っくぅ…しまったっ…バッチリ目が合って…これって完全に上目遣いじゃないか。しかも胸の前でしっかりと手を組んでいる…恥ずかしいぞ…私…
「あぁぁぁの…ラスッ、じゃないっ、ラースッ」
「はい?ユリア?」
クスクスと笑ったまま私の肩を撫でたラースは少し私の顔を覗くようにした。頭が真っ白だけれど、上目遣いシーンの恥ずかしさで何か言わないとって思っただけなのよ…
「何でも聞いて」
「ぇっと…ご兄弟は?」
「23歳の弟が一人」
「…」
「それから?」
「ぅんと…ご趣味は?」
「ピアノ。どうしてユリアは照れてるの?」
お見合い?っていうような質問に知らず知らず照れているところが恥ずかしさを倍増させ、胸の前で組んだ手がニュルっと汗ばむ。
「もうこの辺りはずっとうちの土地だよ。で、前に見えてきたのが僕の屋敷」
そう教えてくれた方を見ると、高い塔があるわけではなくどっしりとした、映像で見たことがあるウィンザー城に似たような大きな住居が目に入る。敷地も広そうだ…一人になったら迷子確定だね。遭難しないようにちゃんと誰かに食らいついて歩かないと…と…
「ぁ…ぇぇええぇ…爺さんっ?」
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