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「ツイリン爺のことは気にしなくていいよ。不死身なのかってくらい長生きで、もう生態がはっきりしないけれど誰も問い詰めることもしない。いろんな個性があっていいよね」
「うん」
ラースは大きなおうちの長男で、誰が見ても眉目秀麗だと言うであろうイケメンだが、傲ることなく自らが周りの多種多様性を認めているようで安心する。だって私はイレギュラーな人物だもの。
「わあっ…美味しそう」
コースのように順番に出されるのではなく、大きなプレートに大人のお子さまランチのように盛り付けられた食事に感動して思わず拍手すると、運んで来てくれた女性が驚いたのが分かった。
でもいいんだ‘新しいユリアが出来上がる過程’って爺さんが言っていたように、私は今の感性で生きていくしかないんだもの。
「すっごく美味しそう。ありがとうございます」
その人に伝えてから
「ラース、突然の訪問にこんなご馳走を準備してもらって…誰にお礼を伝えたらいいのかわからないけどラースに任せるから。ありがとうって伝えてね?」
と隣のラースを見る。
「必ず伝えるよ。僕たちが食べ終わるまでにポイヤックが戻るからね」
「ありがとう。いただきます」
ポイヤックは今、別室で昼食を取っているらしい。私は遠慮なくクリーム色のムースみたいなのを口に入れた。
「うん…うん…おいし」
豆腐とクリームチーズのムースみたいで
「これって最後に食べるものだった?」
とラースに確かめる。
「このプレートにはデザートは乗っていないから、順番は気にすることないよ」
「ありがと…イチイチ聞いてごめんなさい」
「全く問題ないよ。イチからでなくゼロからでも大丈夫だよ」
そう微笑んだラースの瞳は星が降ったようにキラキラとしていた。ずっきゅーん…かもしれない。3次元で初確認しましたっ。星降る瞳を。
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