どきどき

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「日常の家事は執事学校でまず全員が習得します。主人や家族の日常的なニーズを満たすために家事や料理、掃除などが必要な場合がございますから」 「うん」 「スケジュールや物品の管理、代行やセキュリティについても詳細かつ丁寧に学びます」 「うん」 「これらは一般的なものですが、執事は、自分の主人が何をして欲しいのか、どのようなサービスを望んでいるのかをしっかりと汲み取り、常に先回りして喜んでいただけるサービスを提供しなくてはならないとも教えられます。ですから、仕事内容はフルオーダーメイドの場合もございます」 「なるほど…じゃあ子どもの教育係みたいな内容も不思議ではない?」 「そうですね」 ポイヤックさんの説明はとても分かりやすく、一般的な執事像がはっきりとしていく。カチャカチャ…と心地よい音とともに、テーブルに紅茶が用意される間、庭を眺め‘私が一番聞きたいことをどうやって聞く?’と考える。 庭を眺めると、もれなく爺さんがついてくるという感じだが…7人いるのではと言ってたから7人の小人?小人には大きすぎる?噂でなく、7人が勢揃いしたら面白いなぁと考える私の臭覚を紅茶がくすぐった。 「執事学校では、身の回りのお世話も学びますか?」 「家事に含まれる範囲ですね。アイロンがけやクリーニングなどは学びます」 「…ウィルが…」 そこでどう言おうかと、一旦言葉を区切り綺麗な紅茶色を見つめると 「ユリアの悩みはここからだね。僕とポイヤックで聞いてもいい?秘密は守ることと、力になることは必ずだ。約束する」 ラースが私の髪にそっと触れ、力強く宣言した。
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