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「…ア…ユリア」
ラースが私の手を取り、手の甲を優しくトントン…としてからキュッと握った。
「大丈夫?ウィルは洗髪以外にもユリアに触れたのか?」
ラースとポイヤックさんの視線が私に向けられる中で、窓ガラスの向こうから爺さんが私に向かって手を伸ばしもみもみ…
「もみもみ…」
「もみもみ?肩揉みとかマッサージ?」
「あ…うん、そう」
「それはあり得るでしょうね。特に今回ユリア様は1週間、病の床に就いておられたので、私がユリア様に仕えていてもマッサージは申し出たと推量致します」
「そっか…」
「でも、ユリア。嫌なことは嫌だと言っていいんだよ?僕はさっきも言ったけれど、以前と今の感覚は違っていいと思うからね。ユリアは過去ではなく、今を生きているんだから」
「今を生きている…」
「そうだよ。それにユリアが主人だ。ウィルに命じる側だよ」
嫌なのかな?普通は触れないでしょ?っていう部分でおかしいと思って…どうしていいかわからないんだけど。マッサージだけ断ってみようか…
「ありがとう、ラース、ポイヤックさん。マッサージはちょっと様子を見てからにする。とりあえず、お風呂と洗髪だけに…」
「「お風呂っ?」」
左右からの驚きの声に私が驚く。
「ユリア、お風呂って湯あみのこと?」
何を当たり前のことを…私がラースにコクコク頷くと
「ユリア様、洗髪方法を教えて頂けますか?」
ポイヤックさんが訝しげに私に聞く。
「洗髪方法って…当然湯あみとセットのものでしょ?お風呂で髪を洗うんだから」
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