どきどき

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私は思い切り膝を閉じ、爺さんの手の骨をヤルくらいの気持ちでゴリゴリと加圧する。 「ユリア…可哀想に…そんなに震えて」 ラース…最初は震えてたんだけど、今は歯を食いしばって爺さんを攻撃しているから震えているの。 「…オイルマッサージは…ウィルがやたらと口にしてたけど…記憶にない…」 「記憶にない方がいいかもしれないね、ユリア」 ラースがそっと優しく抱きしめてくれたので膝の力が抜けると、爺さんの手も落ちて再びテーブルの下で倒れているようだ。 「クリームはたっぷり…で…マッサージ…した」 「…手とか、肩とかでなく…?」 「……ぅん…全身…だね…」 「全身じゃと?前も後ろも上から下までもみもみされたのか?」 爺さんが倒れたままギンギンと元気な声で聞くので小さく頷く。 「ポイヤック、調査隊の派遣を依頼。調査が入れば旦那様の耳にも入るだろうから、うちでユリアを預かると伝えてくれ。彼女の部屋やバスルームに調査隊が入ることになるから帰せない」 「かしこまりました。ユリア様のお部屋のご用意も致します」 ポイヤックさんは上着の裾をひらっとさせて部屋を出る。 「調査隊って…誰?」
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