どきどき

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「執事学校を卒業したからといって全員が執事になれるわけではないんだよ、昔からね。もちろん他の仕事にも同じことが言えるんだけれど」 「うん」 「昔の卒業生たちは、主人の秘密を扱うような特殊な仕事である執事の仕事を正しく遂行しているかどうか、定期的にチェックして回ったらしい。そして執事学校の教えに背く行為を見つければ審判にかけ、代わりに自分を雇ってくれ…そういうことを繰り返していた」 「うん」 「今はその名残りで、執事学校が調査隊というものを設けている。あの執事がちゃんと働いていないだとか、不正があっただとか誰でもリーク出来る」 「そうなんだ…」 「そうすれば彼らが徹底的に調査して、執事の資格剥奪したり、罪状がつくものなら法に訴えることになる」 真剣に話を聞いているのに、私の膝に座りに来た爺さんが鬱陶しい。私が爺さんの脇に手を入れて、よいしょっとラースの膝に乗せると、ラースは爺さんの首筋をひょいっと掴んで向こう隣の椅子にポイッと置いた。 「すごい」 「うん、ちゃんと正しく裁かれるだろうね」 「ぁ…うん…」 私はラースがひょいっと爺さんを掴んだことに感心したんだけれど…いいか。
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