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「でも…」
私はとんでもないことに気づく。自分の体がウィルによって開かれたユリア嬢のものか、未経験の私のものかがわからない。
「ユリア、この話は休憩じゃ。ポイヤックが戻るまでワシの部屋に案内してやろう」
「僕の部屋より先にツイリン爺の部屋に招くのはおかしいと思うけれど、ユリアが嫌でなければそれでもいいね。僕もポイヤックの手伝いをしてくるよ」
爺さんが長い杖を持ってさっさとドアに向かって歩くのを見て話があるのかな、と思う。
「爺さんのお部屋を見せてもらっていい?」
「じゃあ、僕はユリアの部屋の準備も確かめたいからしばらく別行動で。大丈夫?」
ラースは私の頭をポンポンとしてから顔を覗き微笑む。おおぉぉ…やっぱり星降る瞳だね。
「大丈夫…うん」
「すぐに迎えに行く」
「うん」
「そんなにすぐじゃなくてもいいぞ。昼寝でもしておくから」
爺さん、また寝るんだ…さすが年寄り。
「いくらツイリン爺でもユリアと一緒に寝ないで。ユリアの部屋はすぐに用意するから」
ラースがそう言うけれどさっさとドアを開けた爺さんは
「うん?何か言うたのか?」
大袈裟に耳に手を当て、聞こえないフリをした。
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