ふわふわ

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ふわふわ

「ここだよ。僕の部屋はもうひとつ奥」 「隣?」 「そう。先に見る?」 「ううん…ここ、いい?」 「もちろん、開けてみて」 手は繋いだままなので、反対側の手でアンティーク風のレバーハンドルをぐっと下げてドアを開けると 「わっ…明るい部屋…素敵」 正面の大きな窓が存分に外の光を採り入れる部屋は、明るいベージュの壁紙で現代的でありながら、アンティーク風のゴールド支柱のスタンドライトがレトロな風情を醸し出している。ゴールドの脚と大理石調の箱型天板を組み合わせた正方形のコーヒーテーブルも見たことのないお洒落さだ。 「自由に使ってくれていいからね。こっちがバスルーム、こっちはクローゼット。ドレッサーが準備出来ていなくて申し訳ないけれど、明日には入れるから」 「姿見があるから、ドレッサーは無くても大丈夫。ありがとう、ラース」 「身の危険を気にせず、リラックスして過ごしてくれるのが一番だ」 身の危険…何かおかしいと思っていたのはそういうことだよね。いくらイケメン執事が甲斐甲斐しくお世話をしてくれるシチュエーションでも‘どうぞ私を好きにして~’とは思わなかった。コミックのように心は動かないということだ。 それより、ただ手を繋ぐだけのラースにドキドキとさせられているんですけど… 「もうポイヤックが戻る頃だから僕の部屋で待とうか」 「うん」 そう言って彼の部屋へ行くと、私の部屋にあった正方形のコーヒーテーブルと同素材だと思われる長方形のコーヒーテーブルが中央にあり、壁を挟んで大きなベッドがあった。壁一枚を挟んでベッドとベッドって…いえいえ、何でもない。イビキや歯ぎしり、寝言に気をつけないと…だね…
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