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「ライバ…ル?」
「ユリアを好きだと言っている上に身の回りの世話をするドナが優勢ってことにならないように、僕も頑張らないと」
「頑張らないと…?」
私に頷きながら突き当たりにある重厚なドアを開けて私を中へと促したラースは
「これくらいは触れさせてもらえる?」
と繋いだ手を引くと、私をすっぽりと腕の中へと閉じ込めた。あああぁぁぁ…もうラースが優勢ですから、ご心配なくっ…
「本当に?」
「ひぃぇ…ぇ…聞こえた…?」
「可愛い声が普通に聞こえたよ」
自分の恋愛経験値と偏差値の低さを恨むよ。それもこれもペッタンコの胸のせいだ。今は違う。でも経験値は上がるわけがなく、記憶にある女の子が憧れるシチュエーションのコミックを参考にするしかない。
「…嬉しい…」
「抱きしめて嬉しいなんて、僕が嬉しいよ」
「…っ…」
しまった…可愛い声っていうのに対して嬉しいって言ったんだけど失敗だ。ドキドキしつつ会話が繋がったことは良しとしよう。
「どこまでなら触れていいかな…?」
こういう時は女の子もそっと腕を回すのよ…と、甘い言葉を甘い音色で私の耳に溶かすラースの背中に腕を回したが、緊張のあまりガシッと彼の上着を握りしめた上にグイッと引っ張り
「ぐぇっ…」
ラースの首が締まったようで…彼の喉がおかしな音を立てた。
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