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「何をして過ごせばいいのかな?」
学校にも仕事にも行かない毎日をどう過ごせばいいのかわからない。
「やりたいことは何でも。ユリアは何がやりたい?」
何がやりたい…私は紅茶を一口飲んで考える。何も出来ないところが、ある意味お嬢様のようで、かといって、お嬢様らしいダンスやピアノが出来るわけでもない。
「私は何が好きで…何が出来るのかな?」
「それはこれから見つけていけばいいよ。何にでもチャレンジしてね。食事のテーブルでも言ったけれど、以前と今の感覚は違っていいと思う。何が好きかは今の感覚で感じてみて。ユリアは過去ではなく、今を生きているんだよ」
「…ラースのその言葉にとても救われる…ありがとう」
「僕は以前のユリアがどうだったとは言わない。今とこれからをゆっくりと進もう、ユリア…僕と一緒に」
ああ…生まれ変わったんだ、私…一度死んだんだよね。胸なんてどっちでもいいとは思わないけれど、ほんのちょっぴりそういう思いが脳裏を掠めるくらいには、どういう形であれ生きてて良かったと思う。
「泣かないで…ユリア…」
そう言ったラースの指先が私の頬を濡らす涙を拭い、自分が泣いているのだと知る。
「記憶のない辛さを全て理解することは出来ないけれど、ユリアを理解する努力は惜しまない。一人じゃないよ、ユリアは」
その言葉にぐぉぉぉっと喉と鼻を鳴らして号泣する。胸は大きくなったけれど、ここでは一人ぼっちなんだもの…らぁーすぅー…サイコー。
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