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「お嬢様なの?」
そう聞いても、爺さんは一点を見つめて答えてくれない。その一点がどこかと視線の先を見ると、ツンと上向きの綺麗なピンクの…はぁ…本当に理想的。あの薬、効かないなんて思ってごめんなさい…私は現世で命を落としたことを忘れてうっとりと自分の胸に触れた。
「…ゴックン…」
明らかに喉を鳴らした爺さんの視線と私の胸がぴったり同じ高さなことがイケないんだ。私は手ブラで胸を隠すと、隠しきれない豊かさに満足しながら
「赤いとんがり屋根の城に行く。この新しいボディーで行けるのよね?」
そう言った。爺さんは無言で、長い杖の頭で本に映し出された城をコツン、コツンと器用にノックする。すると
「わっ…燃える、燃える…危ない…」
そこから煙がもわーっと上がり私は驚くが、爺さんはその煙を真剣に見ていた。
「何?どうしたの?」
「読んでるんじゃ…」
爺さんは真剣に煙を見たまま言う。
「煙を?」
「よし、すぐに行け。ただ…ひとつ条件が出ておる」
「それを読んだの?」
「そうじゃ」
「条件って?その条件を飲まないと死んじゃうの?」
「いや…その胸が萎む」
「え…しぼんじゃいやっ」
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