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ドナが用意してくれた、レトロクラシカルなエンジ色のベルベットワンピースはハイウエストラインが綺麗なロング丈で、大きくスクエアカットされた胸元と七分丈の袖は2センチほどの白いレースが装飾されている。薄手のベルベットは柔らかで軽く肌触りがいい。
「お顔から首、胸元まで保湿クリームを塗りましょう」
「自分で」
「はい、極薄くでいいですよ。袖から出た手首や手の甲にもどうぞ」
私にクリームを渡してから、ドナが髪をいじる。ドレッサーがないので姿身の前に座ってその様子を見ながら、よく伸びるクリームを肌に伸ばす。
「このように反対側も、と思うのですがよろしいですか?」
「うん、ありがとう」
可愛いハーフツインテールにしてくれるようで、クラシカルなドレスにぴったりだと嬉しくなる。でもドナが白いリボンを手にした時
「それ…いるかな?」
お出掛けでもないのに、と鏡越しに彼女を見た。
「ジュエリーもリボンも無しでは寂しくありませんか?ドレスの編み上げもございませんし…」
ドレスの編み上げと何の関係があるのか分からないけど、それならとお願いしておく。ドナは丁寧に美しいリボンを結びながら
「男性はリボンなどをほどくのがお好きだと聞きますから」
と付け加える。だからドレスの編み上げ?この国の人は異性へのアピールや、そういった話がオープンなんだね。イチイチ鼻血を出してはいられない。
「ユリア様、お部屋仕様も大変お美しいです。ラース様のお部屋へどうぞ。すぐにお食事をお持ちいたします」
「ありがとう」
私は立ち上がると全身を鏡でくるっと見て、ふわっと広がるスカート部とふわふわっと靡いた髪のリボンに、ふわふわとした気分でラースの部屋へと向かった。
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