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小さなカップに入れられたオニオンポタージュ、その隣にほうれん草とりんごと生ハムのサラダがラースと私、それぞれの前に置かれ、2種類のパンがバスケットで二人の間に置かれた。これだけで十分だと思えるが、メインに魚のフリッターが登場した。
「美味しい」
天ぷらを思い出させる熱々フリッターがとても美味しくて、ウンウンと何度も頷きながら食べる。
「食欲があって安心したよ」
あ…ラースの前で、私は病み上がりと思えないすごい食欲をずっと披露している。
「足りなくなった栄養や、失った体力を回復しようとしているんだね」
「…人の本能はスバラシイ…」
「その通り。僕がユリアのことをこんなに好きなのも本能的に好きなんだろうね…好きになった理由は全て後付けの‘好きな理由’でしかなくて、頭でなく本能で好きになった…好きになった理由なんてない。今、そう分かったよ」
「…好きな理由…」
「うん。毎日増えていく予感」
そう言いながらラースは私の唇をミニミニサイズのオレンジカラートマトでつついた。ぅおっ…あーんデビューですね。
「あーん」
私がパクッとミニミニサイズのトマトを口にすると、ラースがクククッと愉しげに笑った。声に出しちゃおかしかった?確かめようとラースにも同じようにミニミニトマトを差し出すと、彼は私の手首を持ってパクッと…ん?ペロペロと指先を舐めた。ぅっほっ…
「ラ…ラースッ…鼻血…危険…」
「大丈夫そうだよ?」
ちょっとっ、鼻は覗き込まないでいいって。
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