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静岡県立高校に入学して、時間とともに中学生の頃の僕の失恋の傷は薄れていった。
僕は吹奏楽部に入部して勉強と部活に僕なりに一生懸命取り組んでいて、充実した毎日を送っていた。
高校2年生になった時、新入生として『文葉(あやは)』という名前の女子が入部してきた。
文葉は明るくてはきはきと話をする元気な女子高生で、部員の皆から好かれていたように思う。
そんな文葉に僕も心を奪われていて、いつしか好きだという感情が沸き起こっていた。
でも自分に自信がない僕は文葉に告白することをためらっていて、高校3年生になっても文葉に告白できない状態が続いていた。
暑い夏の季節の8月に開催される吹奏楽コンクールが終わって僕達3年生は引退し、僕は大学進学を希望していて受験勉強に必死に取り組むことになった。
このため文葉と会うことがめっきり減ってしまい、僕は寂しい気持ちが大きくなっていった。
1月に入ると2日間の大学入試センター試験があって受験したが、僕は手ごたえを感じていた。
2月には一般入学試験があって、僕は3つの大学の理工学部を受験したけれど、どの大学の試験も手ごたえを感じていた。
そして2月下旬になると合格発表があって、僕は無事受験した3つの大学全てに合格し、第1志望の私立大学理工学部に行くことを決めた。
大学が決まってから後輩の練習の様子を見るために、僕は時々部活に顔を出していた。
そこには文葉がいて相変わらず元気で明るい文葉は、部活のムードメーカーとなっているような感じだった。
3月になって卒業式の日が近づくと僕は東京の大学に進学することが決まっていて高校を卒業すると文葉と会えなくなると思った僕は、3月の卒業式の日思い切って勇気を振り絞って文葉に告白しようと決意した。
卒業式当日、卒業式が終わって帰宅するときに僕は文葉に声をかけて2人で中庭にある桜の木の下に向かった。
「きれいですね」
文葉が桜の花を見てつぶやいたので僕も、
「そうだね!
きれいだね!」
と言葉を返した。
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