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モーテルパーティー
ヨシュアの手を引いた7がポップコーンを放り投げる。
「今からパーティーしましょう! ヨシュア様。これもデートっす」
意味を理解出来ていないヨシュア。その視線は、7がぶら下げている下半身の凶器に集中していた。ある意味、当然の話である。唇を先に奪ったのは7なのだから。
強引に手を引いた7が走り出す。ホームコメディは相も変わらず、仲良し家族のドタバタを垂れ流していた。
さようなら、映画館。
パトカーの助手席にヨシュアを押し込んだ彼は、運転席でハンドルを握りしめた。エンジンを掛け『さあ出発!』という所で、違和感を感じた7。彼は自分の下半身を見てギョッとした。
真顔のヨシュアが、制服ズボンのチャックを弄っている。驚いた7がアクセルを踏み込み過ぎた。シートベルトをしていないヨシュアが、ダッシュボードに投げ出されてしまった。
バコン!
間抜けな音を立てたブルネットの頭。その主がご立腹して声を荒げた。
「いったいな、7! パーティーをするんじゃないのか!」
「パトカーの中でするのはプレイっす! パーティーじゃないですよ!」
最早、定番となったブツブツ文句のヨシュアが、シートベルトを掛ける。彼が嫌味を言っている間に、パトカーはこぢんまりとした商店に到着していた。
7がスラム街育ちの割にはスマートな仕草で、パトカーのドアを開ける。そうして再び手を引き、ヨシュアを店内にエスコートした。
「おい。さっきのポップコーンで満腹だぞ、私は」
7は店内をどんどん進むと「二人で一本」そう念押しして、ワインを取った。下戸なクセして飲みたがりのヨシュアが、あっという間に機嫌を直す。
「生ハムは置いてあるか」
「ありますよ。チーズもでしょ? ヨシュア様」
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