準備運動

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準備運動

 冷水をひったくって飲み干したヨシュア。彼は浴槽で『どこぞの王様かよ』という姿勢のまま、改めて7の姿をマジマジと見た。  筋肉美の長身にくっついている、童顔。ハチミツ色のブロンドと翡翠を思わせる瞳。  満更でもない表情になったヨシュアは「シャワー」とだけ言った。首を捻った7がシャワーを取って手渡す。ヨシュアはシャワーヘッドを外すと、ホースだけを7に戻してニッコリと微笑んだ。 「私の前で尻の中を洗え。セックスがしたい」  放水し続けるホースをマジマジと見た7が笑った。というか困惑の余り、引き攣り笑いになるしかなかった。 「いやいや。いやいやいや」  釣られて笑い出したヨシュアと顔を見合わせる。7はバリタチで中を洗った事がない。「おいで」甘い声に引き寄せられた7が顔を近づけた。  ゴッ!  シャワーヘッドでおもくそ頭を殴られた7は「いっだ!」と叫んでしまった。よく見ると、サファイアブルーの瞳が全く笑っていない。ガチで言っているのだ。 「仕置きをすると言っただろう。何を忘れたフリしてるんだ」  及び腰で「俺はタチ……」そう言いかけた7を、ヨシュアがジロリと睨む。シャワーヘッドは、返答次第ではもう一度殴るぞと準備万端だ。  ――こんなに顔の良い男とやれる機会なんて、そうそうねえしなあ。  雨の日の捨て犬みたいになった7は、仕方なく尻にホースを突っ込んだ。中に入ったぬるま湯を何処で出せば良いのか。  7がバスルーム横のトイレに目をやった刹那、ヨシュアがシャワーを止めた。 「良い子だね、7。出したらダメだよ」 「……流石に冗談っすよね?」  浴槽から出たヨシュアが縁に腰掛ける。美しい変態は、何に興奮したのか雄をそそり立てていた。形の良いそれが目の前に飛び込んでくる。7は思わず、生唾を飲み込んでいた。
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