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雨を吸ってパーカーとジーンズがぐっしょりと重くなる。
子猫を助けられなかった罰を受けている気分で、泥をはね上げ、春の雨を全身で受けながら走った。
夜になると雨はますます激しさを増した。
家に帰ると海斗はいつものように一人でお手伝いさんの作ってくれた夕食を食べ、することもないので早々にベッドに入った。
海斗の母親は入院中、父親の帰宅はいつも日付けが変わるころだ。
読みかけていた本を開いて文字を目で追うけれど、一向に内容が入ってこない。
窓ガラスに雨が打ち付けている。
海斗の耳の底に、さっきの子猫の必死な鳴き声が張りついて離れなかった。
春とはいえ、昼間よりも気温は下がって肌寒くなってきている。
海斗は同じ行を三度繰り返し読んでいるのに気付いて、あきらめて本を閉じた。
ベッドから抜け出し、Tシャツとハーフパンツの上からパーカーをかぶると、階段を駆け下りた。
ふと思いついて洗面所からタオルをつかんでビニール袋に突っ込む。
そして玄関でスニーカーを履くと、傘を刺すのももどかしく、海斗は雨の中に駆け出していた。
--誰かが拾ってくれたなら、全然いいんだ。
この行動がただの取り越し苦労でありますように……!
祈りながら、水溜りを跳ね上げて走った。
5分ほどで子猫のいた神社の境内に息を切らしてたどり着く。
桜の木の下に、段ボール箱はそのまま置かれていた。
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