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Re:プロローグ
夢を見ていた。
その夢は、どこか曖昧だけど意味深、なんでもできてなんにもできない、現実と非現実が入り混じっている。そんな矛盾と整合から成り立つ世界だった。
夢の中での内容はほとんど覚えていない、ある人を除いて。
その人は、私の夢に出てきたただの登場人物のひとり。多分。
自分がこの世界は夢だ、と認識していたかは分からない。だけど、その人には他の虚像には感じない現実味のある何かを感じた。
勿論、今考えればおかしな話だと心底思う。
だけど、時々その人、いや「ゆうき君」のことが脳裏をよぎるのはなぜだろう。
虚像の内の一人のはずなのに、彼のことを考えると鼓動の音が少し大きくなって速くなるのは何故だろう。
もうだいぶ前のことなのに、こんなにも彼を忘れたくないのは何故だろう。
そんな虚像にあれを渡した私は何を求めているのだろう。
あの時、私は、夢が終わるその刹那、彼に自分のメールアドレスを書いた紙切れを渡した。
その後、彼に…
これは、夢の中で出会った人物の返信を求む高校生の物語_。
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