苛立ちと崩れる音

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苛立ちと崩れる音

地元から離れて数ヶ月 その時はまだ頻回に母親と連絡をとっていた そんなある日、母親から笑いながら告げられた 「お父さんの健康診断の結果に“大腸ガン”って書いてあってさ〜!明日病院で検査」 何がおかしいの? 何でガンかもしれないのに笑ってられるの? 電話の声に苛立ちを覚えている 今思えば…母親の空元気だったのかもしれない その日から少しずつ実家の電話は自然と少なくなって行った だからその事を伝えられた時のショックはより大きかったのかも知れない 検査の結果は大腸ガンは無かった その代わり肺の3分の1の機能が停止している その為に手術が必要になる 父は自分が地元を離れる少し前くらいから喘息を発症していた それが原因かは未だに定かでは無い 手術をしたら人工呼吸器が必要になると話を聞いて《生きていてくれるなら》とその時は思った けして仲は良くなかった 自分の記憶にある父は兄とだけ遊びいつだって自分を置いてきぼりにするような人 父親にかまって欲しくて男っぽい振る舞いをしたとしてもあの人は「女なんだから」と突き放してた にも関わらず生きて欲しいと心から願ったのだ
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