01.家系図を持たない男

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「千年桜が咲いたら、お終いだってのに暢気(のんき)な奴らだ」 「それって、どういう意味?」 ハッとするランマだが、時既に遅し。 目の前には、一見して集落の者ではないと分かる若い女性が居たのだ。 栗色の髪を陽光に透かし、好奇心旺盛な瞳で貫くように視線を向ける。 「お前に話すことはない」 「君は誰とも話さないって有名よ」 「俺は忌み子だ。話してたら、お前まで村八分にされるぞ」 「お生憎様。うちはここの者じゃないので平気よ」 「ぐっ……」 「いつも不機嫌な顔して。話したいことがあるなら、お姉さんに話してごらん」 「この顔は生まれつきだ。お姉さんってお前幾つだよ」 「花も恥じらう二十一よ」 「タメじゃねえか」 「ほら、もう随分話しちゃったわね」 両親を失ったランマにとって、話し相手といえば剣術の師匠シダレだけだ。 同年代の友達もいない。女性など尚更だ。 彼の心を開かせる不思議な魅力を持つ女性は、ヨシノと名乗った。
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