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3 不思議の国の…ざしきわらし?
置いた物の位置が変わっている。
ただの思い違いなのだろうが――今朝はエアコンのリモコンが消えた。
「……あっ、たっ……いたぁっ」
見つけた喜びの声と一緒に響いた鈍い音。
テーブルに潜り込んだのを忘れて頭をぶつけてしまった。
涙目のまま手を伸ばしてベッドの陰に潜り込んだリモコンを拾い上げる。
(落とした覚えは……ないんだけど)
テーブルの上に戻すと後頭部をさすって首をかしげた。
このアパートに引っ越してひと月。
生活は落ち着いたのに、こんなことが続いている。
棚に飾っていたぬいぐるみが布団の中にあったり、読みかけの本がテーブル下に隠されるように置かれていたり。
メイク道具のはいったお気に入りのポーチは今も行方不明――ペンや靴下、細かなものを数えたら嫌になる。
まるで子供の頃にやった宝探しゲームのようだが、ちっとも楽しくない。
こんなことが続くと――イヤな気分になる。
茉莉の頭の片隅に浮かぶのは、不動産屋でのやり取り。
(これが事故物件ってこと?)
幽霊を見たり危害を加えられるわけではないが、立て続けにこんなことが続くと背中がうっすらと涼しくなる。
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