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※  遠くで鳥が鳴いている。  陽気なBGMを添えて――違う。枕元で携帯電話がわめいていた。  夏の日差しがまぶしく眉根を寄せる。  茉莉は手探りで操作して耳に当てた。 「斉藤さんっ、今、どこにいるのっ!?」  スピーカー越しの怒り狂った声。 「はぁ、えぇっ? ……かちょ―?」 「まさか寝てたのっ!?」  条件反射で飛び起きて、びしっと正座。  荒らげる声を聞きながら視線を向けたカレンダーに大きな黒丸。 (しまった。今日は休日出勤だった!)  平謝りで身支度を済ませて買ったばかりのワンピースに袖を通す。  寝ぐせで踊る髪の毛を手櫛でアレンジしながら定期を握りしめ、お気に入りのカバンを肩に引っ掛けて家を飛び出した。 「暑……っぅ」  真夏の太陽は容赦ない。  斉藤茉莉。今月めでたく四捨五入のアラサーデビュー。 (誕生日を祝ってくれる彼氏――募集中です)   ※※ おひさしぶりです。あやかし始めました ( *´艸`) はじめましての方もお久しぶりの方も、よろしくお願いします。 今回はあらすじの触りにも到達していない序章。 勢いだけで……続きは……(製作中) 訳アリ物件「くすのき荘」の愉快な仲間たちは次章から顔出し予定。 カメよりカタツムリよりのんびり活動中です。
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