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遠くで鳥が鳴いている。
陽気なBGMを添えて――違う。枕元で携帯電話がわめいていた。
夏の日差しがまぶしく眉根を寄せる。
茉莉は手探りで操作して耳に当てた。
「斉藤さんっ、今、どこにいるのっ!?」
スピーカー越しの怒り狂った声。
「はぁ、えぇっ? ……かちょ―?」
「まさか寝てたのっ!?」
条件反射で飛び起きて、びしっと正座。
荒らげる声を聞きながら視線を向けたカレンダーに大きな黒丸。
(しまった。今日は休日出勤だった!)
平謝りで身支度を済ませて買ったばかりのワンピースに袖を通す。
寝ぐせで踊る髪の毛を手櫛でアレンジしながら定期を握りしめ、お気に入りのカバンを肩に引っ掛けて家を飛び出した。
「暑……っぅ」
真夏の太陽は容赦ない。
斉藤茉莉。今月めでたく四捨五入のアラサーデビュー。
(誕生日を祝ってくれる彼氏――募集中です)
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おひさしぶりです。あやかし始めました ( *´艸`)
はじめましての方もお久しぶりの方も、よろしくお願いします。
今回はあらすじの触りにも到達していない序章。
勢いだけで……続きは……(製作中)
訳アリ物件「くすのき荘」の愉快な仲間たちは次章から顔出し予定。
カメよりカタツムリよりのんびり活動中です。
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