ぼくのたまごちゃん

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私のお腹の中に小さな命が宿ったとき、息子は純粋で元気いっぱいの二歳だった。 「ママのお腹のこのあたりに、小さな小さな赤ちゃんがいるの。」 息子は不思議そうな顔をした。 「赤ちゃんがこの中に入ってるの?」 「そうだよ。はるくんが会ったことある赤ちゃんよりも、うーーんと小さな赤ちゃん。赤ちゃんのたまごかな。」 私は指で小さなまるを作って、息子に見せた。 「えーーそんなに小さいの?」 「うん。すっごく小さいね。 今からちょっとずつちょっとずつママのお腹の中で大きくなって、はるくんが三歳になって少ししたら、バーってお腹から出てきてくれるの。」 「今はいないいない、だね。 おーいたまごちゃーーん! はるくんの声、聞こえてるかな?」 「うん。きっと聞こえてる。お兄ちゃんがお話ししてくれて嬉しいな、って思ってるはず。」 「おーーい!早く出てきてね!たまごちゃーーん」 私は息子の頭を撫でて、ぎゅっと抱きしめた。 二人目の子どもの妊娠が分かった時、嬉しいと同時に、息子のことを思うと複雑な想いだった。 元気盛りの二歳の息子と、今までのように全力で遊ぶこともお世話することも難しくなるし、新たな赤ちゃんの登場をどう受け止めるかも心配だった。 だけど、今日のところは赤ちゃんのことを受け入れてくれた様子。 寝息をたて始めた息子の隣で、安堵の中、私は意識を手放した。
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