浜田市にて

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浜田市にて

拓司たちは安芸高田市まで来ていた。清が泣いた。あんたどこまでいくんよ。そうみゆきがいうと、拓司は浜田じゃあといった。何かつてでもあるん?と弱々しい声を出した時、俺らは死ににいくんじゃ。と言った。もう思い残すことはないんじゃ。只ひたすら人間の魂を求め幽霊のように漂った。ひたすらあるくこと4日、そのとき浜田市の殿町までついていた。 沖田病院の前で拓司はくたばった。 もううごけんだめじゃ。 そのとき奥から看護師と医師たちがきてあつまった。 どうかこれらを面倒見てやって下さい。俺のことなんかええので、と拓司がいうと三人とも病室に運ばれた。 拓司は疲れ切り魂の抜け殻のように口を開けて病室で上半身を立てて何も言わなくなった。 沖田病院の医院長は、是は別の病院にいった方がよいなと思い、みゆきにこの人は廃人だから静かにしてこのままにしていた方がきっと彼には良いと、さとし精神科医院に救急車で運ばれた。 みゆきはあの人は。うっつつつつ。涙がつらーと頬に伝わり顎からしずくが落ちた。 みゆきは赤ちゃんは!といったが、医師はあれはもうだめじゃからおいときなさい。とある意味誘拐じみた文言をはっきり言った。 何故だめなのよ! 其れは、、、、 私赤ちゃんと一緒に帰る!広島に! というとすーっと姿を消して清を連れて行った。 医師は言わなかったが浜田には自殺の名所がたくさんあり実生活をこの町で送るのは無理だから、吐息を詰まらせて言おうと溜飲を押さえていたのがやはり遅かった。みゆきと清は姑獲鳥のようにかわいそうに消えた。やはり母と子が急性骨髄性白血病で命が短い事を重みに感じて親子で身投げしなければよいがと思ってああはいったものの引き留めたかった沖田医院長だった。
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