原子雲の中で。原爆お化けの風神

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原子雲の中で。原爆お化けの風神

暑い暑い!そう人々が語る中で恐ろしい原子雲が地上に迫ってきた。原爆お化けの風神が暑い熱い熱風をフーと吹いたのでみんな死ぬほど暑がった。地獄だ。地獄だ。それに大きな雷雲が広島や全国に迫ってきて雷をいくつも何度も地上の人々に落とした。女子挺身隊員たちは風神の鉢巻きをして来るべき本土決戦に備えていた。 焼け野原になった広島市に死体が群がり、日本兵たちは魚河岸のマグロのように長いカギのついた竿で死体を引っ張って重ねて重ねてガソリンに火をつけて焼いた。まだ息のあるものはダイハツでにの島の地獄鼻に運んでそこが陸軍の救護所だったので軍医や日赤の看護婦達が綿に消毒液に浸して重度のやけどを負った人々に施し、駄目な者は地獄鼻で海に落とした。原爆お化けの風神は広島市全域に熱風をふかせ生きていた者を只管殺した。そして黒い雨が人々に降り注いだ。油脂せいのまるでペンキのような消えない雨だった。
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