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屈みながら慎重に丘を越えると道の向こうの道の左側にベースキャンプらしき広場が広がり、そこに巨大な物まで止まっている。
「なんだあれは?」
思わず声が出てしまった。ベースキャンプに止まっていたのは、飛空挺らしき船に見えた。左右にプロペラがついたような船が見える。
「おーい」
その声はベースキャンプがある広場からではなく、町へ続いているだろう道の向こうからこちらに向かってくる男の声だった。手を振りながら先頭を走り、その後ろから二人の連れらしき人も後から続いて来ているが。
マジかよ今は大声を出すんじゃ……後ろから無数のトゲバッタが一斉に飛び出したかのような音が!ヤバイ!俺は振り返らず向かってくる三人組の方へ全力で走って逃げる。あんな数無理だ。
「この辺りでお前━━なんだありゃ?」
先頭を走っていた細身で背の低い黒頭巾を被った男は事態を察したようで立ち止まって腰からダガーを抜いた。
「なんて数なんだい」
そこに赤髪の女が合流した。美女だが気の強そうな顔をした女が驚いた顔をして見ている。彼女は腰のシミターを抜いた。俺は必死に逃げて彼女達を追い抜くと振り返ってみた。そこには何十匹というトゲバッタが向かって来るではないか!
「マジかよ!」
細身の男も逃げ出すと女も続けて逃げ出す。
「こいつは戦略的撤退だ姉御」
「無理無理無理無理」
そしてベースキャンプの飛空挺の方へ逃げると飛空挺から眼鏡をかけ白衣を着たおっさんが出てきた。その外見はいかにも博士って感じがしたおっさんだった。だが彼が脇に抱えていたのはごっつい火炎放射機だった。
「伏せろ」
博士はそう言って火炎放射機でトゲバッタの群れを焼き払った。その勢いは凄まじくトゲバッタ達は次々と焼き払われていく、どうやら助かったようだ。
……そしてすったもんだの末博士の飛空挺に乗り新たなる冒険へと向かうのだった。
この先どんな冒険が待っているだろうと胸を踊らせながら飛空挺が指す光を見つめた。その先にあるは迷宮都市。
……そう光の先へ━━。
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