君だから

15/15
前へ
/15ページ
次へ
あれから、千南ちゃんとも陽平とも絡まなくなった。 誰といても、心の中に何か大きな穴が空いてる気がして。 その分、俺は勉強に打ち込んだ。 いつの間にか、卒業式になっていた。 桜がチラチラと舞う。 俺は桜が嫌いだ。 桜が好きだった桜を見てると、桜を思い出す。 あの世話焼きで、毎日くっついてきて、 いつも宿題しろって煩くて、元気がないだけで心配してきて、 俺がドジを犯したときにバカだと笑って、 そんな桜が…… 俺はこんな大事な事を失ってから気づくなんて。 涙が頬を伝う。 その涙を拭うように、桜が頬をかすむ。 桜は、俺の気持ちと裏腹に輝くように咲いていた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加