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あれから、千南ちゃんとも陽平とも絡まなくなった。
誰といても、心の中に何か大きな穴が空いてる気がして。
その分、俺は勉強に打ち込んだ。
いつの間にか、卒業式になっていた。
桜がチラチラと舞う。
俺は桜が嫌いだ。
桜が好きだった桜を見てると、桜を思い出す。
あの世話焼きで、毎日くっついてきて、
いつも宿題しろって煩くて、元気がないだけで心配してきて、
俺がドジを犯したときにバカだと笑って、
そんな桜が……
俺はこんな大事な事を失ってから気づくなんて。
涙が頬を伝う。
その涙を拭うように、桜が頬をかすむ。
桜は、俺の気持ちと裏腹に輝くように咲いていた。
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