0人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日の放課後。
昨日のことを気にかけたのか、校門にはいつも通りに身体を揺らす桜がいた。
「昨日はごめん。
勉強会してただけで、別に彼氏じゃないから」
俺に謝る必要なんてないのに、顔を俯かせて謝っていた。
「別に俺には関係ないから、謝らなくていいよ」
そう。俺には桜に彼氏がいた方が都合がいいんだ。
俺は足を帰路に進める。
「昨日、何か喋りたいことあったの?」
足が自然と止まった。
言いたかった。昨日のテストすらすら解けたんだって。
テスト絶対良い点になってるって、頑張ったんだよって。
でも、今の桜はきっとそんなんじゃ喜ばない。
「ごめん。忘れたわ」
そう作り笑いを桜に向けた。
ずっと俺といた桜は、絶対に俺の作り笑いを見抜けると分かっていたのに。
「ずっとこれからも校門で待ってるからね!」
俺は桜の叫ぶ声を背中で聞いた。
最初のコメントを投稿しよう!