1 貴女のことが好きです

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「なん……で……」  確かに私も春山の事を全く疑ってなかったかと聞かれたら胸張ってうん、とは言えないだろう。  でもそれでも一つ気になっていたことがある。それは何故、知佳がそう思ったか、だ。  だけど、知佳はその問いに答えることはなかった。 「ほら、だからそんな奴はもう放っておいた方がいいよ。行こう」 「ちょっと、知佳!」  私の声を構うことなく、知佳は私の腕を引っ張って校舎の中に入って行った。  半ばつんのめりながら春山の方を振り返った。春山は何か言いたそうな顔でこちらを見ていた。  私は何も言うことが出来ずに、知佳に手を引かれるまま校舎の中に入っていった。
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