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二時間目。この日は知佳がいる隣のクラスと合同の体育の授業だった。この日の内容はバレーボール。体育教師から三人一組を組むように言われた私たちは蘭と知佳、私の三人でボールをパスしながら話していた。
「今朝の男子、誰だか知ってる? 知佳」
知佳は蘭にボールをパスながら少し考えてから答えた。
「……うん、四組の春山雄太郎。去年一緒のクラスだった」
「あぁ、今朝も校門の所であんたのこと待ってたやつね」
蘭が私にボールを回しながらそう口にする。
「あいつしつこいね」
知佳が心底嫌そうな顔で私からのボールを受ける。
「……でもなんで、あんな私にこだわるんだろ」
私がポツリと呟くと、蘭がからかうように笑いながら言った。
「え、何? きぃ気になるの、そいつのこと?」
「気になるっていうか……」
気にならないと言われれば嘘になるが、まるで気があるみたいな言い方は不本意だ。
私が弁解する前に、体育教師の笛の音が体育館に響き渡った。
「じゃあ、次は試合形式でやってみるぞ、集合!」
私はもやもやした気分を振り払えないまま、コートに向かった。
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