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「……は?」
メロンパンと引き換えに自分と話せ? 何を言ってるんだ、こいつは。
「自分の教室、二年の中では一番購買に近いんです。競争率の高いメロンパンだって買える余裕、ありますよ」
「そんなに私と話したいのか?」
「はい」
春山は真っ直ぐ私の目を見て答えた。こんな奴は初めてだ。今までの奴らをふと思い出す。呼び出しておいて、私を見てがっかりする奴ら。それらを思い出し、無意識に両手を強く握りしめ、春山に負けないようにじっと目を見つめ返した。春山は目を細めて笑顔になったものの、物怖じせず、また目を逸らすことは無かった。
「話すって、どのくらいの時間話せばいいんだ?」
「出来るなら自分は沢山お話ししたいので、お昼休みいっぱい話したいです」
「見かけによらず欲張りだな……」
私のぼやきに気付いているのかいないのか、春山はにこにこと笑うだけだった。
「お前、昼飯はどうするんだ?」
「自分はいつもお弁当です」
「……分かった。ただ、こちらも条件を出させてもらう」
「条件?」
春山が意外そうな顔をする。
「あぁ、まずメロンパン代は必ず払わせてくれ」
「えー、それくらい奢らせて下さいよ」
春山の言葉に私がジロリと睨みつけると春山は渋々といった様子で黙り込んだ。
「あともう一つ」
「何ですか?」
私が出したもう一つの条件、それは――。
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