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「賢者よ、どうか王さまを助けてもらいたい」
使者が言うには、王さまは最近あることで悩んでいるらしい。
そのせいで夜も眠れず、すっかり体調を崩してしまわれたそうだ。
「して、その悩みとは?」
王さまの体調を崩すほどの悩み事は重大な国家機密であり、ここで説明は出来ないと言う。
俺はとるものもとりあえず、そのまま迎えの豪華な馬車に乗せられて城に向かった。
「よく来てくれたな、賢者よ」
王さまは憔悴しきった顔をパッと輝かせて俺を出迎えた。
しかもその場所は、王さまが下々の者たちに謁見を許す大広間ではなく、ごく近しい者しか入れぬ執務室だった。
何を悩んでいるのか、こちらから勝手に質問するわけにもいかぬので立ったまま待っていると、王さまに手招きされた。
「賢者よ、そなたなら…わしの悩みを解決できるのではと思って呼んだのだ」
「はっ、何なりとお申し付けください」
「実はな、タマゴが先かニワトリが先か?この問題が頭から離れなくなり、気になって気になって夜も眠れないのだ!」
「さようでございますか…陛下、さぞ苦しかったことでしょう…」
「おお、さすがは賢者よ、この高尚な悩みを理解してくれるか」
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