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「神を冒涜する異端者ダ・ウイン、国を乱した罪により逮捕する」
「え?」
しまった、地ならしをするつもりが、調子に乗って派手にやりすぎた…。
俺の出版物は禁書となり、またしても一方的な裁判で処刑された。
俺は自宅の勉強部屋で旅行雑誌を読んでいた。
大学生にもなって双子の兄弟で同じ部屋なのだが、まあ仕方ないと思っている。
大学こそ違うものの、俺たちは揃って生物学を学んでいた。
あいつは鳥類が専門で、俺は海洋生物が専門だ。
時々、互いの研究を兼ねて二人で山へ行ったり、海へ行ったりしている。
今週末は俺に付き合って海へ行こうという話になっている。
「週末の予定は大丈夫だよな?」
声をかけると、弟はニッコリ笑って答えた。
「大丈夫だよ、龍太郎」
つい最近、異世界転生の記憶を取り戻した俺は、龍太郎だった!
なぜこんなことになってしまったのかはわからないが、これから、今週末やらなければならないことだけはわかっている。
しっかり念を押して、予定を確保する。
自然に、事故が起きてもおかしくない場所、それでいて生物の研究室にいる学生ならあえて近付いてもおかしくない場所、そんな場所もよく調べて選定した。
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