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「上出来だ。だが霧島、貴様は何だ! ちんたらちんたらしおってからにッ!! ベッド横に立って足を開けッ! 歯を食いしばれッ!!」
「!? は、はいっ!」
言われた通り構えると、天城先輩は思いっきり私の尻に蹴りを入れた。
「ぎゃっ!!」
「わわ! 誠〜!!」
千鳥があわあわと私を見て声を上げた。
(い゛痛った────!!!)
声にならない声。私は八重歯を食いしばったまま天城先輩に一礼した。
「いちいち喚くな千鳥ッ! 次また声を上げたら貴様もこうだ! 分かったか!!」
「は、はいッ!」
「終了!」
天城先輩と一号先輩方はツンツンしたまま部屋を後にした。
「霧島! ケツ無事か!?」
長門は堰を切ったように私に駆け寄った。
「な、何とか……一瞬竹刀がくるかと思ったけど自分は運が良い!」
「……まあそう思ってんなら良いけどさ」
長門はうーんと小さく唸った。
「天城先輩んとき霧島が最後だと、今後もやられる可能性あるな。何か対策考えねえと」
「俺か大鷹が調整するのは? 長門が一番じゃないとそれはそれで機嫌悪くするだろ」
千鳥の提案に大鷹が頷いた。
「いや、皆すまない。自分は大丈夫! とりあえず先輩方がぐうの音も出ないくらい早く寝起きできるよう練習してみる」
長門は何だか悔しいような顔をして頷いた。
就寝のラッパが鳴る。私たちは決意新たに就寝動作を終えて毛布に包まった。
(体をたくさん鍛えたら、天城先輩の蹴りを食らっても平気になるのかな……たくさん体操をして、たくさん運動をして──)
「……霧島? え、もう寝た!?」
布団に入りおよそ二分。小さめのいびきをかく私を長門は驚きをもってクスクス笑った。
「すげーな就寝動作より早えよ。おやすみ」
一日がおわる。
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