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(──それにしても体操が長い!)
私は飛び跳ねながら思わず目だけで辺りを見回した。生徒も上半身裸ならお手本役の教員もしかり。上半身裸の男たちが飛んだり跳ねたり伸びたり縮んだり十二種類もの体操を……はっきり言って小夜さんのお目に掛けたい絵面ではありませんでした。何かこう、美しくないので……
時間いっぱい動き周りようやく終了。解散の号令で皆がその場にへたり込んだ。
「はああ、今日もキツかった……っ!」
思わず動いた口を塞ぎ辺りを見回す。大丈夫、私を叱るような人物はいなかった。
「関節やべえー。膝が死んだ」
長門が口をいーっと横に開き嘆く。
「でもそのくらいが丁度良いんだって言ってたな」
「本当かよ。これやってたら先生みたいな筋骨隆々になれるわけ?」
「……たぶん」
私は自信なく八重歯を見せてニカッとした。
「その前にどっか痛めちまいそ。それよりさ」
大鷹いい体しすぎじゃねえ? の一言で皆が彼を注視した。ロシアの血筋だけあって色白な方ではあるが、肩も腕も私たちより一回り──千鳥や榛名先輩に至っては二回り近く大きい。胸板なんか見事なもので幅も厚さも申し分なく、周囲の憧憬の眼差しを一身に集めた。
長門は大鷹の胸や腕を無遠慮にパシパシやりながら、すげーすげーと感心した。大鷹は大人しく緑の瞳を伏せていた。温厚過ぎる。
「お前何したらこうなんの? スポーツとか武道とかやってた?」
「……うち、農家で」
意外な答えに皆がへーっとなる。千鳥がピョンと飛び出して情報を添える。
「でも話聞く限り普通の農家じゃないぜ。豪農ってやつ? 山とか土地とかすげえあんの。馬も使用人もいっぱいいてさ、もう豪族だよ豪族!」
「へえーそれはすごいなあ」
私は豊かな自然やまるまる育った色鮮やかな農産物を思い浮かべ、大地の恵みを讃えに讃えた。
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