第4章:武道週間

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4-3 『海軍の剣道』  今日は武道週間初日。午後、私たちはまず銃剣術の授業を受けるために練兵場へ移動した。銃剣術は広ささえあれば場所を選ばないので、日によって第一・第二生徒会館(寝室や食堂のある建物)前広場でも行われた。  ──ちなみに銃剣というのは猟銃(ライフル)の様な銃の先に取り付け槍のように突いたり払ったりと使用できる剣のことで、発祥はフランスの農民一揆だと言われております。そのため仏語ではその地名にあやかり『ベヨネット』と呼ばれるそうです。  その後は第一生徒会館裏にある広さ六百畳ほどの大きな柔道場、または同じ広さの剣道場に移動して武道の修練となる。今日は剣道の日なので、銃剣術の一斉素振りで乱れた息が整ってすぐ小走りで剣道場まで移動した。 「軍隊の剣道、気になるなあ」  私は早朝長門に教えを乞い予習した通り、てきぱきと防具を着けながら言った。長門は私の顔に面を掛けながら大きく頷いた。 「兄上の話だと斬る動作が入ったり、何か声をあんまり出さないらしい。海軍は『三S精神』だから迅速(Smart)確実(Steady)静粛(Silent)ってことなんだろうな」 「でもさ、それ戦闘にも適用するのちょっと怖くない?」  千鳥の問いに、先に面をつけ終えた大鷹は腕を組んで俯いた。 「……大声上げるのもどうかと思うが」  何となく黙り込む四人。長門が面の紐を締めた。
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