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「若菜の未来の娘ということは秘密にしてください」
手紙と共に、中学1年生になる若菜。突如未来から娘がやってきた。この子が未来の私の子供?
自称幼稚園年少であるという少女、美愛(みあ)がやってきた。
パパの名前はわからないというけれど、私のことをママだと認識している。
現在両親の都合で同居している同級生の少年、翔琉(かける)と共にお世話をすることに。まるで夫婦のようだ。
私の両親は大きな会社の社長と副社長でほとんど家にいない。
子供のことを告げると、「いいわよ。私の子供ってことで。家政婦さんに任せて学校には行くのよ」と母親が陽気に答える。
「でも、帰宅したらちゃんとお世話するのよ」そう言って、仕事に行ってしまった。うちは、両親が忙しいため家政婦さんがいる。お世話してくれる人がいてよかったと心から思う。
翔琉はやんちゃで意外と女子に人気がある。
私が美愛のお世話をするために早く帰宅していると、さっそく、女子に遊びに誘われた翔琉。
それを横目にしらんぷりをして遠目で睨む。私は、多分、翔琉が好きだ。
でも、それはずっと秘密にしている。
翔琉みたいにモテないし、勉強や運動ができるわけでもない。友達も少ない方だ。
それに比べて、翔琉は何でもできるし男女ともに友達がいる。
そんな彼だからこそ、私とも同居しているとはいえ、仲良くしてくれるのだろう。
美愛が熱を出す。心配する私たち。
すると、私のスマホに知らない着信がある。それは、未来の私からだった。
事情があって、過去に娘を送ることになった。でも、時期が来れば、自然と美愛は未来に帰る手はずになっているらしい。そして、夫のことは言えないと言われる。
熱が出た時の対処法を聞き、早速、私と翔琉は実践する。
美愛がよくなった後、私たちは、ますます家族愛が深まった気がする。
翔琉とは育児仲間にはなれたが、恋愛には進展しない。恋愛よりも家族要素が強い。
翔琉に彼女ができたという噂を聞く。隣のクラスの美少女が告白したらしい。
それは、私が告白したとしても負けるに決まっている。私なんてダメだと思う。
そんな時、自宅で会っても、口を聞けなくなった。
翔琉はどうしたのかとしつこく聞いてくる。私は答えない。
翔琉は「いつか、美愛のパパになりたい」という。
「それってどういう意味?」私は聞き返す。
「馬鹿かお前は、俺の嫁はおまえにしたいって言ってるんだよ」
まさかのプロポーズをされる。
そして、美愛が帰る日がわかり、未来から連絡が来る。
お父さんになる人の名前はわからないままだ。でも、翔琉と一緒の未来を想像する。きっとお父さんの名前は翔琉だと思う。だってこんなに波長が合って好きなのだから。
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