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そして何より、僕には何物にも代えがたい
大切な仲間たちがいて、彼らの存在がいつも
僕を支えてくれていた。
互いの良いところも、悪いところも分かり
あえる高校からの旧友であり、親友たちだ。
シャイで優しいくせに、馬鹿やっていつも
皆を笑わせてくれる、暁生。
穏やかで繊細で、同級生なのに兄のような
大らかさで皆をまとめてくれる、志紀。
ちょっとぼんやりしているけど、その場の
空気を明るくしてくれる、詩子。
クールでしっかり者なのに、時に涙もろく
なってしまう、千尋。
彼らの存在がいつも人生の中心にあって、
だから僕は一人の時も強くいられた。仕事で
辛いことがあっても、ふとした時に皆で集ま
って笑い合えばすぐに前を向くことが出来た
のだった。
中でも、暁生は一番の親友だった。
先に暁生と仲良くなったのは志紀の方で、
僕と暁生は志紀に引き合わされる形で友達に
なったのだけれど。志紀には彼女がいて休日
を彼女と過ごすことが多かったし、僕と暁生
はいつも休日を持て余していて家も近かった。
だから高校卒業と同時に免許を取ってから
は、車で暁生の家に行き朝まで遊ぶことが増
えたのだ。そこに、暁生の家の近くに住む詩
子が来たり、千尋が合流したりで、僕たちは
四人で過ごすことも多かった。
二つのコントローラーを順々に回しながら、
朝まで鉄道ゲームに明け暮れる週末はあまり
に怠惰で、訳もなく底抜けに楽しい。実家が
関西で一人暮らしの暁生の部屋はお世辞にも
綺麗とは言えず、見たこともない茶色い丸い
虫が床を歩いていて大騒ぎになることもあっ
たけれど。トコトコと部屋の隅を歩く丸い虫
を見つけては騒ぎ立てる詩子と千尋を指差し、
暁生と笑った夜はいくつあるだろう?
「テントウムシの赤ちゃんちゃうん?何も
悪いことせんのに騒ぎ過ぎやで。なぁ、爽汰」
笑い過ぎて涙の滲んだ目を擦りながら同意
を求める暁生に、僕は「まあ害はないけどね」
と肩を竦める。すると、
「これテントウムシじゃないから!小っち
ゃいのがわらわら歩いてて、気持ち悪いっ!
きっと台所のどっかから湧いてるんだよ」
と千尋が地団駄を踏み、
「もうヤダ。暁生の部屋怖すぎるぅ」
と詩子は手を組み神に祈るのだった。
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