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愛ラブ息子編②
数年前。私がとあるシングルマザーの生活支援をしていた時の話です。
場噛須子さん(60代女性 母親)(仮名)
場噛莫迦くん(30代男性 息子)(おそらく仮名)
須子さんは手のしびれや関節の痛みが頻出する様になり、清掃パートを続けるのが厳しくなってきていました。
諸事情から年金もあてに出来ずパートも休みがちになり家賃滞納が続いた事で、アパートの大家が役所に相談し、役所は我が法人へと右から左へのパス。
パスを受けた法人は「あ、これ面倒そう。えんたろーにパス」というお決まりの流れでえんたろーが担当する事に。
ま、こういうのはよくある話です。
場噛須子さんには支援型施設に入所してもらい、費用は生活保護を申請してお終い、という特に難しい仕事ではありません。
ありません・・・がネックが1つ、息子の場噛莫迦くんです。
彼は五体満足なニートなので、彼が同居していると生活保護の申請が通りにくいのです。
なので母と息子の住所を別にしたいのですが、母親の住所登録を施設にする事は出来ません(出来る所もある、今回は出来ないケース)。
なので息子の莫迦くんには家を出て行って欲しいのですが、10年以上ニートをしている彼にはそんな力はありません。
ですが時は待ってくれません。また次の家賃支払い日が来ます。
もう場噛母子は逆さに振っても何も出ません。
例え悪手でも何か手を打たなければならないのです。
そこで、とりあえず「保護」という形で須子さんを施設に緊急入所させる事にしました。
「緊急入所」は「入所」とは異なり、役所への報告や先に貰う必要のある許可を後回しに出来る制度です。
そして、いざ送迎の職員が須子さんを迎えに行くと
「母さんを連れて行くな!!!貴様ら帰れーーーーー!!」
と息子の莫迦くんが激しく抵抗。
莫迦くんはニート、生活費は須子さんの年金です。
須子さんが施設に行くと須子さんの資産全般は施設管理となります。
もちろん莫迦くんには1円も入りません。
彼が抵抗するのは予想できていましたし、職員は連れて帰ってこれないとえんたろーは分かっていました。
それでも、分かっていても最初は正規の手順を踏むことが大事なのです。
予想通り、送迎職員は諦めて帰ってきました。
送迎職員は初老のパートさんです、無理はさせられません。
えんたろーの出番です。
「だろうと思ったよ(笑)。ここからは俺の出番やな」
「お願いします」
「じゃ、さっそく行くか」
「え?一人ですか?運転は私が・・・」
「いい、いい、いらないいらない。一人の方がやりやすいから」
「は、はあ・・・」
続く!
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