箱詰めのジェイク

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箱詰めのジェイク

 これは、俺がとある工場でアルバイトしていた時のことだ。  アルバイトといっても、日雇い労働者みたいなものだと思ってくれればいい。工場で、流れてくるレーンに品物を梱包するとか、ようはそんな軽作業を一日延々とやる仕事だ。立ち仕事が平気なら誰にでも出来るもんだから、働いてる奴らには若い学生から年配者まで様々な人間がいる。当時俺は大学生で、スキマ時間の小遣い稼ぎくらいの気持ちで働いてたわけだが、多分そういう奴も少なくなかったことだろう。  その工場で何を生産していたのかといえば、卵だ。  工場を経営していた会社の名前は、マルガイコーポ。君も聞いたことがあるかもしれない。かつては大手食品会社で、マルガイコーポの卵も広く流通していたものだから。  このマルガイコーポは、工場の隣に養鶏場があり、そこで大量の鶏を飼っていると聞いていた。で、山程産まれた卵を、俺が働く工場で加工する。といっても、俺は洗浄と検査をクリアしたその卵をパック詰めする作業を手伝うくらいの仕事だったわけだが。卵パックに必要なシールをひたすら貼っていくだけ。その際、パックに異物が混じってきたり、汚れた卵が混じっているようなことがあったら弾くように言われていた。確かに、日雇い労働者でもできるような簡単な仕事だろう。  この仕事で、大体一日八千円くらい。交通費が出ないのが痛いけれど、自転車で通える距離の俺には何も問題はなかった。  さて、ここまでが前置き。  俺がこのマルガイコーポでアルバイトを始めたのは、大学二年生の時だ。  これはその工場で起きた、ぞっとするような話。
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