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櫻樹散見
ああ嫌だ
何がですの、お姉さま
だから
嫌なのよ
あちこち触られて
手折られて
あらあ、艶かし
艶かし、そんなものなど
有るはずもないわ
春野の盛りを
楽しむ間もなく
散らされる
こうして
すがるように
咲き残る
花弁の可憐さなど
知るはずもなし
そうですわね
何を嘆くー、
我らは
そうした物ぞ
我を見よ
枯れ果てたこの枝肢
それでも
千年の色変華
成し遂げて
咲くものぞ
ああ、そうでございました
奥さま
あなたさまの
幾年に比べれば
我らの、百年など、
まだ咲き初めの
若木もおりますのに
あの、酔いしれる
人代の者共へ
爛漫を見せてやりましょう
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