桜は私のものなのに

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 家を出てすぐは、仲が良かったサクラに会いたくてしょうがなかった。  けれど、私がサクラを疎ましく思うまでにそう時間はかからなかった。  今はサクラの幸せそうな姿を見るたびに、自分が黒く染まるのを感じている。  サクラはそんな私に気づく様子もなく笑顔を向けてくる。  それが私をさらに地獄に突き落とした。  父が大企業の社長だったこともあり、サクラとともによくテレビで見かけた。  父の優しい視線がサクラに注がれているのを見るたびに、そこにいたのは私のはずなのにと心がすさむ。  昔はしょっちゅう入れ替わっていた私たちだが、ガリガリに痩せてしまった私と健康的なサクラではもう入れ替わることもできない。  二度と父にかわいがられることも、あの家に行くこともできないと思うと、いっそあの桜の木ごと燃やしてしまいたいほどの憎しみをサクラに感じる。
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