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手の震え 彼サイド
手が震えだした。
ふるふるふる……。
彼女を姿をみかけて、追いかけずにはいられなかった。
誰かのシャッター音が響くと僕は後ろを見た。
体が震えだした。
彼女をストーカーしているやつがいる。
足音は彼女の方へまっすぐ向いていた。
僕は駆け足で彼女のストーカーを追いかけた。
明らかに彼氏ではなさそうだ。
シャッター音はもう、していなかった。
ストーカーが彼女の口をふさいだ。
僕は慌てて走ると、ストーカーの顔を見た。
「…っ!」
そいつは指名手配犯だった。僕は丁度いい、と思うと彼の魂を抜き取る。
彼女の魂はまた今度にするか。
ストーカーの体は僕に持ち上げられると、そのまま地獄へと向かっていく。
「閻魔手帳」と書かれた本を見ながら僕は鎌を持ち直す。
彼女はあと5年後に魂回収だったから今地獄に落とすのは可哀想か。
そう思いながら僕は地獄へ帰る。
彼女が振り返る約0.5秒の間に死神は一人の魂を地獄へ送っていた。
完
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