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大型連休最後の日曜日、敬梧は仕事を終えると、急いで慧の部屋へ向かった。
「敬梧、おかえり。おつかれさま」
「慧さんこそ、おかえりなさい」
「僕は、遊びまわってたけどね」
連休中はお休みする子もいるから、園長先生が休ませてくれたそうだ。実家に戻り、斉木夫婦とも遊んできた、と嬉しそうに話す顔に、憂いは見えなかった。
敬梧は自分の取り越し苦労だったかと、内心ほっとする。母親が慧に向けた目には、猜疑心がありありと見えていたし、感情的に大きな声を出してしまったので聞こえていたかも、と心配していたのだ。
「明日からは通常通りなんですよね」
「うん、休み明けは登園したがらない子もいるから、ちょっと不安」
笑みをうかべた慧の顔を見た瞬間、敬梧はここ数日の間、自分が抱えていた感情が『淋しい』だったことに気づいた。
「慧さんの笑顔が見れなくて、俺は淋しかったんだ」
家と職場の往復は、これまでと何ら変わらないはずなのに、晴れない気分を持て余していた。コンビニで、ふだん一人では飲まないお酒まで買ったほどだ。
「敬梧は? 忙しかったんでしょ?」
尋ねながらも、折りたたみテーブルに食事を並べている。「気合い入りすぎちゃった」というメニューは、敬梧の手のひらくらいある特大ハンバーグだ。
「すごい! こんなの初めて見ました」
「考え事しながら、びったんびったんしてたら、こんなになった」
「え……」
やはり慧も気にしていたのかと、敬梧の顔が曇る。
「あ、怒ってるとかそんなんじゃないから。お腹減ってるでしょ? 食べながら話そう」
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