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巨大観覧車では、ゆっくりと景観を楽しむつもりだった。
しかし、箱の中の15分間で敬梧が見ていたのは、遠くの景色に見惚れる慧の横顔だった。
それからフードコートでタコスやチュロスを食べ、色とりどりの雑貨を扱うショップで買い物をした。終始笑顔をみせる慧の周りは、まるで、小さな光のつぶが舞っているかのようだ。
時間はあっという間に過ぎ、楽しい気持ちをかかえて帰路についた。道路は少し混んでいたが、ふたりの住むアパートへ戻ったのは、日が落ちてすぐの時刻だった。
そしていま、駐車場にとめた車から、敬梧も慧もなかなか降りることができないでいる。隣り合わせで住み、会おうと思えば、毎日でも会えるというのに。
やがて、意を決したように敬梧が顔をあげた。
「慧さん、うまく言えないけど。俺、慧さんが好きです」
カラカラに乾いた喉に声が絡まるが、なんとか言いきった。
「だからって、どうなりたいとか、思ってません。俺こんなだし」
「敬梧はかっこいいよ」
慧がいつかと同じように、まっすぐに敬梧を見ている。その瞳のなかに、昼間とは違うきらめきをみつけて、思わず顔を近づけた。
「ごめんっ!!」
胸を強く押し返された敬梧は、とっさのことに硬直してしまう。
慧がドアを開けて飛び出していった。
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