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月曜日の朝、妻の志穂に起こされて、僕は反射的に枕元の時計を見た。
午前3:12(月)
重いまぶたをこじ開けて十秒ぐらい凝視したが、デジタル時計の表示は見間違えではないようだ。
「何でこんな時間に……? もしかして里奈に何かあったの?」
僕は反射的に小学生の娘が熱でも出したのかと心配したが、志穂は首を横に振った。
「ううん。里奈はいつも通りぐっすり眠ってる。でも、これは里奈にも関係する話だと思うな……」
そう途方にくれたような志穂の深刻な表情に僕はベッドから体を起こした。彼女のこんな顔は初めて見る。いつもはとても明るい人なのだ。大学時代に同じサークルの友人に恋人を略奪された時も、
「また適当な人見つけるから!」
と皆の前でケラケラ笑って見せたほどだ。……その「適当な人」が僕だったわけだが。
「どうしたんだよ? 何か心配ごとか?」
すると、志穂は無言で小皿に載せたたまごを僕の前に差し出した。普通のたまごより二倍くらい大きなたまごだった。
「ずいぶん立派なたまごだね。これがどうかしたの?」
僕が手を伸ばそうとすると、志穂が血相を変えて叫んだ。
「触っちゃダメ!」
「何だよ? そんなに高いやつ買ったの?」
僕がいぶかし気な表情を見せると、志穂は暗い顔をして呟くような小声を出す。
「……買ったんじゃないの」
「じゃあ、もらったの?」
「違う……」
「え? それなら、誰かから預かってるっていうこと?」
すると志穂はポロポロと大粒の涙をこぼしながら叫んだ。
「私が産んだの! 半年くらい生理がないなって思ってたら、ついさっき……!」
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