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赤い水の塊が、アスファルトの上で震えている。
非情なほど遠い空からは、冷たい水がしたたり落ちて来ては
うずくまる私の身体を打ち付けた。
意識の向こう側で、かすかにサイレンが鳴っている。
それなのに、車はせわしなく行き交うものだから
私の手や足はずたずたに引き裂かれていってしまう。
私の身体から溢れ出たであろう赤い液体は、
景気よくタイヤに吹き上げられて、脇の排水溝へと流れていった。
誰も、助けてはくれないんだ。自分のことは、自分で守ってあげなくちゃ
誰も。
動き出そうとした身体を、これまで感じたことの無いくらい強い力が後ろに吸い込んだ。
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