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それから二人は、二言三言話してから別れた。
ロキは城塞のほうへ踵を返し、ルイスはアイリスを抱き上げたまま荷物を持って、狩小屋に入る。
「ルイス。
ねえ、ルイス」
寝室の扉を開けるルイスに、アイリスは必死に言った。
「旅に出るのは五日後なの?
今夜じゃないの?
どうして?
あの人がそう言ったから?
あの人は誰?」
「彼はロキと言って、僕の弟なんだ」
ベッドにアイリスを下ろして、ルイスは答えた。
ベッド脇に荷物を下ろし、それから暖炉の火に目を向ける。
「部屋は暖まっているようだね」
「弟なの?
なんで弟の言うことをすぐに聞いちゃうの。
五日後なんて嫌。
いますぐがいい」
「アイリス」
ルイスはアイリスのとなりに腰を下ろした。
琥珀色の瞳が、薄闇の中で光っている。
「予定を変えてごめん。
逃亡の旅は最終手段なんだ。
もししなくて済むのなら、しないほうがいい」
「どうして!?」
身を乗り出すアイリスの、外套のボタンをルイスは外し始めた。
暖かい室内ではすぐに外套を脱がないと、汗をかいて良くない。
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